CICA配合の化粧品は、もう目新しいものではありません。ここ数年で、敏感肌向けの美容液やクリームの定番成分として、多くのブランドから発売されています。ただ、身近になった分、「CICA=ツボクサ」以上の説明を見かける機会は意外と少ないままです。
CICAとは何か
CICAはラテン語でツボクサ(学名:Centella asiatica)を指す言葉です。アジアに広く生育するハーブで、昔から傷の回復を助けるものとして使われてきた歴史があります。スキンケアではこのツボクサから抽出した成分が使われ、炎症を鎮静し、皮膚の修復をサポートする働きが期待されています。
「CICA」の中身は一つではない
「CICA=ツボクサ」という説明で終わっていることが多いのですが、実際にはツボクサから得られる有効成分にはいくつかの種類があります。代表的なものが、マデカッソシド、アジアチコシド、アジア酸、マデカシン酸です。
| 成分名 | 主な特徴 |
|---|---|
| マデカッソシド | 抗炎症作用が研究されている、CICA系成分の代表格。 |
| アジアチコシド | 体内でアジア酸に変化する前駆体で、創傷治癒への関与が報告されている。 |
| アジア酸 | コラーゲン産生への関与が示唆されている成分。 |
| マデカシン酸 | アジアチコシドから生成される成分で、抗炎症・抗酸化に関する研究がある。 |
製品によって配合されている成分や濃度は異なるため、同じ「CICA配合」という表示でも、実際の働きは必ずしも同じではありません。成分表示を見て、どの成分がどれくらいの位置に書かれているかを確認するのも、製品を選ぶ手がかりになります。
報告されている作用と、研究の限界
ツボクサ抽出物については、炎症性サイトカインの抑制、創傷治癒の促進、コラーゲン産生への関与、抗酸化作用などが報告されています。細胞や動物を使った基礎研究が中心で、ヒトを対象にした質の高いランダム化比較試験(RCT)はまだ十分とは言えないのが現状です。
何に向いていて、何には向いていないか
CICAが得意とするのは、赤みや炎症の鎮静、バリア機能が低下した肌のサポートです。ニキビ跡のケアや、刺激の多い季節に肌を落ち着かせる用途には合っています。一方で、しみを薄くする、毛穴を引き締めるといった作用は期待できません。「肌荒れによく効く万能成分」として扱われることがありますが、あくまで鎮静・修復の補助的な役割です。
肌が荒れている原因を取り除かずに、CICAで鎮めようとしても、繰り返すだけかもしれません。
「敏感肌=使える」ではない
CICAは刺激が少ない成分として紹介されることが多いですが、植物由来成分である以上、人によっては刺激やアレルギー反応が起こる可能性があります。敏感肌だから必ずCICAが合う、という意味ではありません。初めて使う製品は、まず目立たない部分で試してから顔全体に取り入れることをおすすめします。
根本的な原因を先に
敏感肌で繰り返し肌荒れが起きているなら、まず何が肌を刺激しているかを見直すことが優先です。洗いすぎ、摩擦、合わないスキンケアの成分、睡眠不足。CICAは一時的に炎症を落ち着かせる力がありますが、原因に対処しないと症状は続きます。
使い方のシンプルな考え方
CICA配合の製品は、肌が疲れているとき・バリアが弱っているときのケアとして取り入れるのが現実的です。毎日必ず使うというよりも、「今日は肌が敏感だな」と感じるときに選ぶ一本として位置づけると、上手に付き合えます。
Grain Note
CICAは、肌を元気にする魔法の成分ではありません。でも、肌が疲れているときに、少し立ち止まる時間を与えてくれる成分ではあります。
何を足すかより、何を減らすか。CICAを選ぶ前に、今使っている洗顔料やクレンジングが強すぎないかを見直してみてください。バリア機能が弱っているときは、新しい美容液を増やすより、刺激を減らす方が改善につながることも少なくありません。
Grain Evidence
ツボクサ由来成分と皮膚科学的な作用のレビュー
ツボクサ抽出物およびマデカッソシド・アジアチコシドなどの主要成分について、抗炎症作用や創傷治癒促進、コラーゲン産生への関与を整理した総説です。多くは細胞・動物実験に基づくもので、著者らは高品質なヒト臨床試験の蓄積が今後の課題であると指摘しています。
Bylka W, et al. Phytother Res. 2014;28(8):1117-1124.
マデカッソ酸の抗炎症メカニズムに関する基礎研究
マクロファージを用いた実験で、マデカッソ酸が炎症性サイトカインの産生に関わるNF-κB経路を抑制することが報告されています。細胞レベルでの結果であり、製品としての効果の強さを直接示すものではありません。
Won JH, et al. Planta Med. 2010;76(15):1652-1656.
Grain Pick
炎症を繰り返す肌を落ち着かせたいなら、鎮静クリームから。アベンヌのシカルファット+ リペアクリームは、CICAと亜鉛を組み合わせ、荒れた肌を静かに立て直す処方です。
化粧水の後にCICAを重ねたい人には、SKIN1004のマダガスカルセンテラ アンプルという選択肢があります。マダガスカル産ツボクサエキスを高濃度で配合し、軽いテクスチャーで重ね付けしやすいのが特徴です。
敏感肌向けに、刺激の少ないケアを探しているなら。ラロッシュポゼのシカプラスト バーム B5は、皮膚科医と開発された低刺激バームで、肌荒れしやすい部分にピンポイントで使いやすい製品です。
どれも「毎日たっぷり」ではなく、肌が疲れているときに手を伸ばす一本として位置づけると使いやすいはずです。



