夏の終わりごろになると、肌のごわつきが気になるという声をよく聞きます。ファンデーションが毛穴に落ちる、ざらつきが手に触れる。そういう感覚です。
その流れで手に取ることが多いのが、角質ケアをうたう商品です。成分表示にはAHA、BHAといった表記が並びます。この2つは何が違うのでしょうか。
水になじむ酸と、油になじむ酸
違いはとてもシンプルです。AHAは水になじみ、BHAは油になじみます。
この性質の差が、届く場所の差になります。水になじむAHAは肌の表面に広がって、古い角質のつながりをゆるめます。油になじむBHAは皮脂に溶け込めるので、毛穴の中まで入っていきやすい。同じ「酸」でも、仕事場が違うわけです。
| AHA | BHA | |
|---|---|---|
| 溶けやすさ | 水になじむ | 油になじむ |
| 主な成分 | グリコール酸・乳酸・マンデル酸・クエン酸 | サリチル酸 |
| 届きやすい場所 | 肌の表面の角質 | 皮脂の多い毛穴の中 |
| 向きやすい悩み | ごわつき・くすみ | 角栓・皮脂によるざらつき |
AHAの中でも違いがあります
AHAとひとくくりにされますが、分子の大きさに差があります。グリコール酸はいちばん小さく、そのぶん肌に入りやすい。マンデル酸は大きめで、ゆっくりはたらきます。
刺激が気になる人は、マンデル酸や乳酸を含むものから試すという選び方もできます。成分名まで見る習慣がつくと、同じ「AHA配合」でも中身が違うことがわかってきます。
濃度と、のせている時間
角質ケアの強さを決めるのは、成分の種類だけではありません。濃度と、肌にのせている時間も同じくらい関係します。
皮膚科で行うピーリングと市販品では、この2つが大きく違います。市販の化粧品は、日常で使える範囲に収まるよう設計されています。だからこそ、規定より長く置く使い方には意味がありません。
角質は、取り去るものではなく、たまりすぎないようにするもの。
毎日のケアにはしないほうが穏やかです
角質は本来、肌を守るために積み上がっている層です。減らしすぎれば、乾燥や刺激を受けやすくなります。
週に1〜2回から始めて、肌の様子を見る。赤みやヒリつきが出たら間隔をあける。この距離感が、いちばん失敗しにくいと思います。
それから、角質ケアをした日は紫外線に気をつけてください。日焼け止めをふだんより丁寧に塗る。それだけで、後から後悔することが減ります。
Grain Note
ざらつきが気になるのは、肌が変わろうとしている途中かもしれません。
夏のあいだ増えた皮脂と、日差しを受けた角層。その両方が落ち着くまでには時間がかかります。急いで削るより、少しずつ間隔をあけながら様子を見るほうが、肌には無理がありません。
Grain Evidence
角質ケアに使われる酸の分類
ピーリングに用いられる有機酸として、AHA(グリコール酸・乳酸・マンデル酸・クエン酸など)とBHA(サリチル酸)が挙げられています。作用が及ぶ深さは「酸の濃度・種類・肌との接触時間」によって決まると整理されています。
Kubiak M, et al. Postepy Hig Med Dosw. 2015;69:374-383. (PMID: 25811473)
ニキビに対する有機酸ピーリングのレビュー
AHA・BHAはニキビの皮疹を減らす目的で用いられ、有効かつ安全な選択肢になりうるとする文献レビューがあります。ただし濃度や回数は肌の状態に合わせて調整する前提であり、一律の使い方が推奨されているわけではありません。
Molecules. 2023;28(20):7219. (PMID: 37894698)



