皮膚科で乾燥肌の薬を処方されたとき、「ヘパリン類似物質」という名前を見たことがある人は多いと思います。最近は市販の保湿クリームにも、同じ成分名を見かけるようになりました。
もともとは血液が固まるのを防ぐヘパリンという物質から作られたもので、名前だけ聞くと保湿とは結びつきにくいかもしれません。今回は、この成分が肌の上でどう働くのかを整理します。
ワセリンとは、働き方が違う
保湿の代表格であるワセリンは、肌の表面をおおって水分の蒸発を防ぐタイプの成分です。ふたをする、という表現がよく合います。
一方でヘパリン類似物質は水になじみやすい性質を持ち、角質層まで働きかけて水分を引き寄せ、抱える方向で保湿します。表面をおおうのではなく、内側から水分を保つイメージです。表面をおおうタイプと内側から保つタイプ、両方を知っておくと、乾燥の度合いに合わせて選びやすくなります。
| 成分 | 働き方 |
|---|---|
| ワセリン | 肌の表面をおおい、水分の蒸発を防ぐ |
| ヘパリン類似物質 | 角質層に水分を引き寄せ、内側から保つ |
保湿だけでなく、血行を促す働きもある
ヘパリン類似物質には、保湿作用に加えて血行を促す働きや、炎症をやわらげる働きがあるとされています。医療の現場では、乾燥肌だけでなく、しもやけのような血行障害のケアにも使われてきました。ひとつの成分に複数の役割があるのは、もともとの由来が血液に関わる物質だったことと関係しています。
医療用と市販薬、配合の考え方が違う
皮膚科で処方されるヘパリン類似物質の外用薬は、乾燥肌の治療を目的にした濃度と処方で作られています。一方、ドラッグストアで買える市販薬や、化粧品に配合されているものは、同じ成分名でも濃度や組み合わせる成分が異なります。
「同じ名前だから同じ効果」とは限りません。日々の保湿として使うぶんには市販品で十分なことが多いですが、かゆみや赤みが続く、皮がむける、といった症状がはっきりしている場合は、市販品で様子を見るより、皮膚科で相談するほうが遠回りにならないと思います。
同じ名前の成分でも、どこで、どんな濃さで出会うかによって、役割は変わります。
ヘパリン類似物質は、ワセリンとは違う経路で乾燥に働きかける成分です。表面をおおうものと、内側から保つもの。どちらか一方ではなく、乾燥の度合いに合わせて使い分けると考えると、選びやすくなると思います。
Grain Note
おおうことと、抱えること。保湿にも、いくつかの入り口がある。
ヘパリン類似物質は、皮膚科でも扱われてきた実績のある成分です。だからといって強い薬というわけではなく、日常の保湿としても使える範囲のものです。自分の乾燥がどのタイプか分からないときは、成分の働き方から考えてみるのも一つの手だと思います。
Grain Evidence
ヘパリン類似物質の保湿の仕組み
ヘパリン類似物質は水に溶けやすい親水性の性質を持ち、水分子を引き寄せて保持する保水性があるとされています。ワセリンが肌の表面をおおって水分の蒸発を防ぐのに対し、角質層まで働きかけて保湿効果が持続しやすいと説明されています。
保湿以外の作用について
ヘパリン類似物質には、保湿作用のほかに血行促進作用や抗炎症作用があるとされ、乾燥肌だけでなく血行障害を伴う症状のケアにも使われてきました。



