外にいた時間が思ったより長かった日、帰ってから顔がほてっていることがあります。鏡を見ても、そこまで赤くはない。焼けたかもしれないけれど、たぶん大丈夫。そう思って、いつもどおりに洗って、いつもどおりに寝る。日焼けのやっかいなところは、その判断が翌日にずれて返ってくることです。
赤みと色は、同じ時間に出てこない
紫外線を浴びた肌の変化を時間を追って観察した研究では、UVBによる赤みが最も強くなるのは照射から1〜2日後、色が最も濃くなるのは3〜7日後だったと報告されています。つまり、浴びた直後の見た目は、その日焼けの最終形ではありません。夜の鏡で判断するには早いということです。
| 時間 | 肌で起きていること | この時間にできること |
|---|---|---|
| 当日 | ほてりが残る。赤みはまだ弱いこともある | 冷やす。熱い湯を避ける |
| 翌日〜2日目 | 赤みが強く出てくる。ひりつきを感じやすい | 水分を入れる。こすらない |
| 3日目以降 | 色が濃くなってくる | 保湿を続ける。攻めるケアは止めておく |
72時間という区切りに、はっきりした生理学的な境目があるわけではありません。ただ、赤みが出て、色がつきはじめるまでの動きがだいたいこの範囲に収まります。「浴びた日」だけで終わらせず、三日ぶんの目安として持っておくと考えやすくなります。
なぜ、色はあとから出てくるのか
日焼けで肌が濃くなる反応には、いくつかの経路があることが知られています。そのうち数日かけて進むほうは、紫外線が表皮の細胞のDNAを傷つけたことをきっかけに始まると説明されています。傷を受けた細胞から出る信号が色素細胞に伝わり、メラニンがつくられていく。順番としては、ダメージが先にあって、色があとから来ます。
色がつくこと自体は、肌が自分を守ろうとする反応でもあります。悪いことだと決めつける必要はありません。ただ、色を薄くしたいと思ったときに向き合う相手は、すでに進んだ反応のほうだということになります。だから、浴びたあとの数日は、その反応をこれ以上あおらない過ごし方が効いてきます。
焼けた直後の肌は、変化が終わったところではなく、始まったところです。
この数日、肌は触られることに弱くなっている
実験的に日焼けをつくって観察した研究では、照射から24時間後の皮膚で、熱・冷たさ・押す力に対する感じ方が敏感になっていました。その状態は96時間の観察のあいだ続いています。ひりつくのは気のせいではありません。いつもと同じ強さで洗ったりタオルを当てたりしただけで、刺激として届いてしまう時期があります。
だから、この数日にすることは少なくて済みます。まず冷やすこと。冷たいタオルやシャワーで熱を引かせます。次に水分を入れること。化粧水でも乳液でもかまいませんが、手のひらでこすり広げずに、置くように塗ります。そして、こすらないこと。洗顔は泡でなでる程度にして、拭くときも押さえるだけにします。
紫外線を浴びた皮膚では、角層の脂質のうちバリアをつくる成分が減ることも報告されています。乾きやすい状態になっているということです。ベタつくのが苦手な季節ですが、日焼けした日の夜だけは、いつもより一段しっとりしたものを選んでも後悔しにくいところです。
美白系や角質ケアは、いつから足すか
色がつきはじめると、手持ちの美白美容液やピーリングを使いたくなります。気持ちはわかります。ただ、赤みやひりつきが残っているうちは、刺激のほうが先に届いてしまうことがあります。まずは落ち着かせる。しみるものを使わない日が続いて、肌がいつもの手触りに戻ってから戻す。順番としては、そのほうが無理がありません。
編集部でも、焼けた日の夜ほど何かを足したくなります。そこで一本増やして、翌朝ひりついて後悔したことが何度かありました。日焼けのあとにできることは、思っているより地味です。冷やして、水分を入れて、触らずに寝る。そのあいだに肌の側が進めている作業を、じゃまさせないでおく。それくらいの距離感がちょうどいいのだと思います。
Grain Note
日焼けのあとに一番効くのは、新しく足すものではなく、いつもより手を止めることでした。
焼けてしまった日は、取り返したい気持ちが先に立ちます。でも、この数日の肌は敏感になっていて、良かれと思って足したものが刺激になることもあります。三日だけ、いつもより静かに扱ってみてください。そのうえで日焼け止めの塗り方を見直すほうが、次の夏まで残る変化になります。
Grain Evidence
赤みと色は、別の時間経過をたどる
健康な10名の背中に波長の異なる紫外線を照射し、6か月にわたって観察した研究では、UVBによる赤みは1〜2日後に最も強くなり、色の濃さは3〜7日後に最大になったと報告されています。UVAでは赤みも色も照射直後から現れ、時間経過が異なっていました。10名という小規模な試験で、背中への照射という条件のため、日常の日焼けにそのまま当てはめられるわけではありません。
Suh KS, et al. "Long-term evaluation of erythema and pigmentation induced by ultraviolet radiations of different wavelengths." Skin Res Technol. 2007. (PMID: 17374056)
遅れて出てくる色の仕組み
皮膚の色素形成をまとめたレビューでは、数日かけて進む日焼け(delayed tanning)が、UVBによる表皮細胞のDNA損傷を起点として始まると説明されています。損傷に反応して放出される物質が色素細胞に働きかけ、メラニン生成につながるという経路です。レビュー論文のため、もとになった研究の規模や条件にはばらつきがあります。
Yardman-Frank JM, Fisher DE. "Skin pigmentation and its control: From ultraviolet radiation to stem cells." Exp Dermatol. 2021. (PMID: 33320376)
日焼けした肌は、数日間敏感になる
健康な22名にUVBを照射した試験では、24時間後の照射部位で熱・冷たさ・押す力・チクチクする刺激への感じ方が強まっていました。12名を対象にした追跡では、その状態が96時間の観察期間を通して続いています。実験的につくった日焼けを調べたもので、痛みの研究として行われた試験です。スキンケアの効果を検証したものではありません。
Gustorff B, et al. "The pattern and time course of somatosensory changes in the human UVB sunburn model reveal the presence of peripheral and central sensitization." Pain. 2013. (PMID: 23419598)
紫外線を浴びた角層で減る脂質
皮膚のバリアに関わるセラミドを調べた研究では、UVBを照射した皮膚やテープで角層を剥がした皮膚で、角層の表面に結合しているタイプのセラミドが減っていることが示されています。動物と培養細胞を中心とした基礎研究で、特定の化粧品の効果を確かめたものではありません。日焼けのあとに肌が乾きやすくなる背景として参照しています。
Oh MJ, et al. "A synthetic C16 omega-hydroxyphytoceramide improves skin barrier functions from diversely perturbed epidermal conditions." Arch Dermatol Res. 2016. (PMID: 27402316)
Grain Pick
ひりつく肌に手のひらで化粧水を広げるのは、それ自体が摩擦になります。キュレルのディープモイスチャースプレーは、触れずにひと吹きで水分を届けられるので、赤みが残っている日でも使いやすいところです。
顔だけでなく、首や腕にも使えます。冷蔵庫に入れておくと、ほてりが強い日の一本目にもなります。
赤みが引いてきたあと、乾きが気になる場所だけに重ねるならバームが向いています。ラロッシュポゼのシカプラスト バーム B5は成分数が絞られていて、荒れている部分に必要なぶんだけ使いやすい設計です。
顔全体に厚く塗る必要はありません。皮がむけそうなところ、つっぱるところにだけ置いてみてください。



