夏に肌が荒れると、多くの人はまず汗を疑います。汗をかいた日にかぎってざらついたり、赤くなったりするからです。ただ、汗をかかない日にも肌の調子が落ちることがあります。夏の肌荒れは、汗ひとつで説明できるものではありません。
夏の肌には、四つの負荷が同時にかかっている
夏の肌が荒れやすいのは、性質の違う負荷が重なるからです。汗が肌の上に残ること。タオルやマスクによる摩擦。屋外で浴びる紫外線。そして室内のエアコン。それぞれ原因は違いますが、行き着く先は同じで、肌のバリア機能が弱るという一点です。
| 要因 | 肌に起きること | 日常での場面 |
|---|---|---|
| 汗 | 長く残るとふやけて刺激を受けやすくなる | 通勤、屋外での作業 |
| 摩擦 | こすれで角層が削られバリアが乱れる | タオル、マスク、髭剃り |
| 紫外線 | 浴びた直後に水分が逃げやすくなる | 日中の外出、塗り直しの間隔 |
| エアコン | 低い湿度が続き水分量が下がる | オフィス、寝室 |
順番に見ていきます。汗については、汗そのものが悪いわけではありません。肌の上に長くとどまることと、そのあとにこすることが刺激になります。ここは別の記事で詳しく書いているので、気になる方はそちらも読んでみてください。
見落とされやすいのは、摩擦です
摩擦は自覚しにくい負荷です。汗を拭くときのタオル、一日つけているマスクの縁、洗顔のときの手のひら。ひとつひとつは小さくても、夏はその回数が増えます。マスクを長時間つけた肌では、水分量が下がり水分の蒸発量が上がるという報告もあります。機械的な刺激と閉塞、洗浄成分が重なると、バリアへの影響が足し算になることもわかっています。
この考え方は、髭剃り後の肌や男性にも当てはまります。刃が当たるのは毛だけではなく角層も一緒に削っているので、剃ったあとの肌はこすったあとと同じ状態です。剃る前に肌をやわらかくしておくこと、剃ったあとに何か塗っておくこと。やることは女性の摩擦対策とまったく同じです。
肌荒れの原因を一つに絞ろうとするより、負荷が重なっていることに気づくほうが早い。
紫外線とエアコンは、気づかないうちに乾かしてくる
紫外線を浴びた肌では、日焼けとして見える前の段階で水分が逃げやすくなることが報告されています。赤くならなかったから大丈夫、とは言い切れません。エアコンも同じで、湿度の低い環境が続くとバリア機能が下がり、刺激を受けやすくなるとされています。屋外では紫外線、屋内ではエアコン。夏は逃げ場が少ない季節です。
夏にやりがちな三つの失敗
ここまでを踏まえると、よかれと思ってやっていることが逆に働いている場面が見えてきます。一つめは、皮脂やベタつきが気になってゴシゴシ洗うこと。二つめは、どうせ汗で流れるからと何も塗らないこと。三つめは、冷水で顔を洗って気持ちよくなり、そこで終わらせてしまうことです。
| やりがちなこと | かわりにできること |
|---|---|
| 皮脂が気になってゴシゴシ洗う | 泡でなでるように洗い、回数を増やさない |
| ベタつくから何も塗らない | 軽い乳液やジェルを、量を減らして続ける |
| 冷水で締めて終わりにする | ぬるま湯で流し、そのあと水分と油分を入れる |
結局、やることは増えません
要因は四つありますが、対処はばらばらではありません。こすらない。洗いすぎない。日中は紫外線を防ぐ。そして肌を乾かしたまま放置しない。どれも夏のスキンケアを増やす話ではなく、削りすぎないための話です。編集部でも、夏は品数を増やすより、朝と夜にやることを固定するほうがうまくいっています。
Grain Note
夏のスキンケアで一番大事なのは、肌を乾かしすぎないことだと思っています。
暑いと、さっぱりさせる方向にどんどん寄っていきます。よく泡立てて洗い、冷たい水で締めて、ベタつくものは塗らない。その一つひとつは気持ちいいのですが、重ねると肌には乾かす力ばかりが働きます。夏こそ、少しだけ残すほうへ寄せてみてください。
Grain Evidence
マスク着用と肌のバリア機能
健康な女性21名を対象にした片顔比較試験では、長時間のマスク着用後に角層の水分量が低下し、水分の蒸発量が上がったことが報告されています。同時に、保湿剤を毎日使ったほうではその影響が軽くなったことも示されています。少人数かつ女性のみの試験である点は割り引いて読む必要があります。
Feng L, et al. "Compromised skin barrier induced by prolonged face mask usage during the COVID-19 pandemic and its remedy with proper moisturization." Skin Res Technol. 2023. (PMID: 36428277)
摩擦・閉塞・洗浄成分は足し算になる
成人20名を対象に、機械的な摩擦・閉塞・界面活性剤への曝露を4日間組み合わせた試験では、それぞれ単独よりも重なったときのほうがバリア機能の低下が大きくなったと報告されています。夏のように複数の刺激が同時にかかる状況を考えるうえで参考になります。
Fluhr JW, et al. "Additive impairment of the barrier function by mechanical irritation, occlusion and sodium lauryl sulphate in vivo." Br J Dermatol. 2005. (PMID: 16029337)
紫外線を浴びたあとのバリア機能
健康な男性15名に紫外線を照射し28日間観察した試験では、照射後に一時的なバリア機能の低下(水分蒸発量の上昇)が起きたことが報告されています。サンプル数が小さく特定の集団を対象にした研究のため、断定はできませんが、日焼けとして見える前から肌が乾きやすくなる可能性を示しています。
Lim SH, et al. "Change of biophysical properties of the skin caused by ultraviolet radiation-induced photodamage in Koreans." Skin Res Technol. 2008. (PMID: 18211607)
低い湿度と皮膚のバリア機能
環境の湿度・気温と皮膚の関係をまとめたレビューでは、低湿度の環境ではバリア機能が下がり、刺激物やアレルゲンへの感受性が上がることが報告されています。エアコンの効いた室内に長くいる夏も、この条件に近づきます。レビュー論文のため、もとになった研究の規模や質にはばらつきがあります。
Engebretsen KA, et al. "The effect of environmental humidity and temperature on skin barrier function and dermatitis." J Eur Acad Dermatol Venereol. 2016. (PMID: 26449379)
髭剃りと肌トラブル
男性340名を対象にした調査では、剃ったあとの刺激感や乾燥、剃刀負けなどが多く報告され、これらが肌の状態や剃り方と関連していたことが示されています。剃る前に肌を整えていた人は約3分の1にとどまりました。自己申告による調査で、水分蒸発量などの客観的な測定は行われていません。
Sukakul T, et al. "Facial hair shaving behavior and skin problems of shaved areas of males." J Dermatol. 2021. (PMID: 34254359)
Grain Pick
洗ったあとに何か一つだけ足すなら、油分でふたをするものが選びやすいです。キュレルの潤浸保湿フェイスクリームは、セラミド機能成分を配合し、乾燥しやすい肌をやわらかく包む処方になっています。
夜だけ使う、乾く場所にだけ使う。そういう使い方でも十分に意味があります。
紫外線への対処は、日焼け止めを塗ることに尽きます。アネッサのパーフェクトUV スキンケアミルクは、軽さと守りのバランスがとれていて、毎日続けやすい一本です。
大事なのは強さより続けられることなので、塗り直しの考え方は関連記事も見てみてください。



