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夏バテと肌荒れは、同じところでつながっている。

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夏バテと肌荒れは、同じところでつながっている。

夏は肌だけでなく、身体そのものが少しずつ消耗していく季節です。日焼け止めや保湿で外側を守ることはもちろん大切ですが、食欲が落ちる時期だからこそ、肌をつくる材料まで不足しないようにしたい。今回は、夏バテと肌荒れを別々の悩みとして考えず、「内側の土台」という視点から見直してみます。

夏に消耗しているのは、肌だけではない

汗をかく。暑さで疲れる。食欲が落ちる。冷たいものが増える。夏のあいだ、身体にはこうした負荷が静かに積み重なっていきます。だるさや食欲低下として感じるものを、わたしたちは「夏バテ」と呼んでいます。

このとき見落とされやすいのが、食事量そのものが減っていることです。そうめんや冷たい麺で簡単に済ませる日が続くと、糖質は摂れても、タンパク質やビタミン、ミネラルは不足しがちになります。汗と一緒に失われる栄養素もあります。体力が落ちるだけでなく、肌にとっての材料も細っていく季節。それが夏です。

肌も、毎日つくり変えられている

肌の表面にある角層は、一定の周期で新しく入れ替わっています。その入れ替わりには、材料とエネルギーが必要です。タンパク質は肌そのものの材料になり、ビタミンやミネラルはその働きを支えます。食事から届く栄養が細ると、肌をつくり変える作業にも影響が及びうると考えられています。

だから、夏バテと肌荒れは無関係の別々の悩みではないのかもしれません。「体力が落ちる」と「肌の調子が落ちる」の入り口が、同じ「消耗と栄養不足」にあること。それは十分に考えられることです。

夏に意識したい、五つの栄養素

特別なものを足す必要はありません。夏に不足しやすく、かつ肌の土台に関わる栄養素を、いくつか知っておくだけで選び方が変わります。

栄養素肌・体との関わり多く含む食べもの
タンパク質肌や髪の材料そのもの。不足すると回復が遅れやすい豚肉、鶏肉、卵、大豆、魚
ビタミンB群エネルギーづくりと皮膚の代謝を支える。汗で失われやすい豚肉、卵、枝豆、納豆
ビタミンC紫外線による酸化ストレスと関わり、コラーゲンづくりにも関与キウイ、ピーマン、トマト
亜鉛皮膚や粘膜の健康維持に関わるミネラル牡蠣、赤身肉、卵
不足するとだるさや肌のくすみとして表れることがある赤身肉、レバー、大豆

まず土台になるのがタンパク質です。肌も髪も、もとをたどればタンパク質からできています。食欲が落ちる夏こそ不足しやすく、そうめんだけの昼食が続くと、真っ先に足りなくなる栄養素です。豚しゃぶ、ゆで卵、冷奴。火を使いすぎず、さっぱり食べられるものが夏には合います。

ビタミンB群は、エネルギーづくりと皮膚の代謝に関わり、汗と一緒に失われやすい栄養素です。豚肉や枝豆、納豆に多く含まれます。ビタミンCは、紫外線による酸化ストレスとの関わりや、肌のハリを支えるコラーゲンづくりに関与するとされています。キウイやピーマン、トマトなど、夏に出回る野菜や果物から摂りやすいのがうれしいところです。

亜鉛と鉄は、見落とされやすいミネラルです。亜鉛は皮膚や粘膜の健康維持に関わり、鉄が不足すると、だるさや肌のくすみとして表れることがあります。赤身の肉や卵、大豆は、両方をまかないやすい食材です。

「夏バテだから食べる」ではなく

並べてみると、特別な食材はほとんどありません。豚しゃぶ、卵、枝豆、トマト、ピーマン、オクラ、キウイ。スーパーで普通に手に入る、夏の食卓の顔ぶれです。以前ご紹介したトマトやブルーベリーの話とも、根っこは同じです。

大切なのは、視点の置き方だと思います。「夏バテだから栄養をとる」ではなく、「肌のためにも、ちゃんと食べる」。同じ一皿でも、そう考えるだけで、食事が肌のケアの一部になります。冷たいものに偏った日が続いたら、翌日は温かい汁物やしっかりした主菜を一品足す。そのくらいのゆるさで続けるのが、夏には無理がありません。

外側から肌を守ることと、内側から肌を育てること。どちらも同じ「肌のため」の行為です。

Grain Note

スキンケアは外側から肌を守るもの。食事は肌をつくる材料を補うもの。どちらか一方ではなく、両方を続けることが夏の肌には大切です。

夏の肌荒れを、化粧品だけで何とかしようとすると、少し苦しくなることがあります。日焼け止めと保湿で守りながら、食卓で材料を切らさない。守りと補いがそろったとき、夏の肌はいちばん楽になるのだと思います。

Grain Evidence

ビタミンCと皮膚の健康に関するレビュー

ビタミンCは皮膚に多く存在し、コラーゲンの合成を助ける酵素の補因子として働くとともに、紫外線による酸化ダメージへの抗酸化的な関与が指摘されているとする総説です。ただし、口から摂る場合と肌に塗る場合で皮膚への届き方は異なり、どの程度寄与するかはまだ検討の余地があると整理されています。

Pullar JM, Carr AC, Vissers MCM. Nutrients. 2017;9(8):866.

亜鉛と皮膚に関するレビュー

皮膚は体内で亜鉛の濃度が比較的高い組織とされ、亜鉛が不足すると皮膚の炎症や創傷治癒の遅れと関連しうることが報告されています。一方で、通常の食生活における軽度の不足がどこまで肌に影響するかは、別に考える必要があるとされています。

Ogawa Y, et al. Nutrients. 2018;10(2):199.

微量栄養素の不足と、皮膚・毛髪・爪の変化

ビタミンB群や鉄など、各種微量栄養素の不足が皮膚・毛髪・爪の変化として現れうることを整理したレビューです。臨床で不足を見分けることを目的とした整理であり、サプリメントで美肌になることを示した研究ではない点には注意が必要です。

DiBaise M, et al. Nutr Clin Pract. 2019;34(4):490-503.

Grain Pick

理想は食事から摂ることですが、食欲が落ちて食事が偏りがちな日もあります。そういうときは、ビタミンB群やビタミンCをまとめて補えるマルチビタミンを、補助的に使う選択肢もあります。

「これを飲めば夏バテしない」ではなく、あくまで食事の土台を支える一つとして。まずはいつもの食事に主菜を一品足すことが先です。